黒部市(富山) 森石山(1110m) 2021年3月27日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 5:57 駐車余地−−6:58 682m標高点肩−−7:28 870m肩−−8:17 森石山 8:38−−9:09 870m肩−−9:22 682m標高点肩−−9:50 駐車余地

場所富山県黒部市(旧宇奈月町)
年月日2021年3月27日 日帰り
天候晴後薄曇
山行種類残雪期の籔山だがほとんど雪が無くタダの藪山に近かった
交通手段マイカー
駐車場道路脇のいたるところに広い駐車余地あり
登山道の有無無し
籔の有無全区間の7割程度が藪漕ぎ。尾根下部はチャボガヤと椿が主流で尾根上に出ると灌木がメイン。1割は藪は無く2割が残雪が使えた区間
危険個所の有無残雪の急斜面は締まった時間帯は滑ったら止まらないので滑落注意。雪が緩めば危険はない
山頂の展望立木が多く良くない
GPSトラックログ
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コメント西の肩に1106.0m三角点があるがその東側の1110m等高線ピークが真の山頂。残雪期を狙って現地に行ったが半分以上の区間で残雪皆無で北西尾根に出るまではほとんど藪漕ぎの連続で、痩せ尾根もほとんど雪が落ちて藪漕ぎ。まとまった雪が使えたのは山頂周辺のみ。藪漕ぎの区間では予想外に藪は薄く落葉した期間なら無雪期でも十分に狙えそうな感触だった。南西尾根から比較的新しい足跡が上がっていたが三角点のある肩までで真の山頂に達していなかった。密かに来週は猪頭山、瘤杉山狙っていたが既に残雪が少なすぎて今年は断念決定




宇奈月ダム付近から見上げる森石山北西尾根。雪は全く見えない 宇奈月ダム右岸のトンネル入口から斜面に取り付く
トロッコ列車用トンネル入口真上を通って谷筋へ 330m鞍部へと南へ
途中の谷筋に残雪が見えたのでそちらへ 雪はデブリ跡。上部は急傾斜
右手の尾根へ登る 尾根に乗る。道は無いが藪は薄い
標高430m付近。椿藪 標高540m付近。チャボガヤ
標高540m付近のイワウチワ 標高580m付近。僅かに残雪
標高630m付近。再び椿藪 標高630m付近。岩が登場するが隙間を抜ける
標高670m付近。ピンクリボンの目印登場 682m標高点。残雪はここだけ
標高700m付近。また椿藪 標高730m付近。僅かな灌木と笹で歩きやすい
標高750m付近 今年初めてのマンサクの花
標高830m付近 870m肩直下。ここで北西尾根に乗る
870m肩から山頂方向を見ている。雪はほとんど無い 標高900m付近。岩があるが右から巻く
標高920m付近 標高930m付近。ここだけ針葉樹で藪は皆無
標高950m付近 標高970m付近。アイゼン装着
固く締まった急な残雪を慎重に登る 標高990m付近。灌木藪
標高1030m付近 標高1060m付近
標高1060m付近から見た1231m峰と1261.4m三角点峰 間もなく山頂
1106.0m三角点。南西尾根からトレースが合流 山頂直下でもこの残雪しかない
山頂直下 森石山山頂。標識は無くピンクリボンのみ
森石山から見た東側の展望。ブナで展望は良くない
1231m峰方面へと続く尾根 森石山から見た針ノ木岳
南西尾根のトレース。かなり新しく数日以内だろう 1106.0m三角点から北を見ている
870m肩で北西尾根を離れて西へ 帰りもチャボガヤ、椿藪を突っ切る
イワウチワ チャボガヤ。雪国で見られる。葉の先端が尖って痛い
標高400m付近から植林帯に入る トロッコ列車の線路には錆が浮いていた
宇奈月ダム 駐車箇所


・宇奈月温泉のやや上流側の黒部川と北又谷に挟まれたエリアには森石山、猪頭山、瘤杉山の3つの山がある。登山道はなく地域的、標高的に考えれば藪が深く、雪がある時期以外に登るのは困難だろう。実はこの山々は昨年から狙っていたが4月に入って宇奈月温泉へ行ったら周囲の山には雪が皆無だったため実行できなかった。今年は冬場の積雪が豊富でありまだ3月なので雪があるだろうと期待して出かけることにした。しかし天気は土曜日1日しか持たない予報であり、先週痛めた右足の指の筋も全快していないこともあり、手始めに距離が短い森石山のみを目指すことにした。

・ルートは宇奈月温泉の対岸の宇奈月ダム付近。黒部川を渡る橋の手前の尾根を登って北西尾根に達し山頂を目指すルートで、車でのアプローチを考えればこのルートしかないだろう。ネットで検索してこのルートの記録はいくつか発見できたが、痩せ尾根の雪庇が厄介らしい。ただし残雪期で雪庇が落ちてしまえば問題ないらしいことが分かり、念のため今回は10本爪のアイゼンとマジなピッケルで向かうことにした。もうスノーシューを使うほどの雪質ではない可能性が高いので、今回はワカンとした。

・今回は久しぶりに長靴ではなく登山靴を履くことにした。先週は長靴とスノーシューの組み合わせが原因で右足の甲を通る足の指の筋を痛めてしまい、未だに全快していない状況であり、再び長靴ではワカンやアイゼンを装着した場合に症状を悪化させる可能性が高い。登山靴なら構造が固く、ワカンやアイゼンを装着しても特定の場所に力が集中しないので足を痛めることはないだろう。実際に足の痛みは増すことは無く、登山靴の効果がよく出ていた。と言うか長靴でスノーシュ、ワカン、アイゼンは普通は無いか。

・宇奈月温泉は富山の中でも長野に近い位置なので助かる。一般道で約3時間で到着。夜中で真っ暗なので斜面の残雪状況は不明であるが、道路周辺にはほとんど雪が無く先が思いやられる。もしかしたら藪漕ぎかなぁ。場所を変えようかとも考えたが、富山で未踏の山は黒部川奥地か白山周辺であり、地図も用意していないので致し方ない。

・宇奈月ダム右岸周辺には広い駐車余地がたくさんあるので問題なし。今回は最も上流側にあるトンネル手前の駐車余地に車を置いて仮眠した。

・翌朝、朝飯を食べて出発。周囲が明るくなるとこれから登る方向にある斜面には全く雪が無いのが見えてがっかりする。かなり上まで登らないと残雪にありつけないのは確実だが、そもそも山頂までに残雪があるかどうかも怪しい。この感じでは半月以上早く登らないとダメだな。アイゼン、ピッケル、ワカンが無駄になる可能性があるが保険として持っていくことにする。

・斜面取り付きはトンネル入口。唯一ここだけがトロッコ列車の線路を横断せずに済む場所だ。これより北側では道路と斜面との間に線路がある。ただしレール表面にはオレンジ色の錆が浮いていたので今の時期はまだ列車は運行していないようだ。トンネル入口付近だけ僅かに残雪があるが、見上げる広い谷筋にも雪は見えない。ただし藪も無い。

・進路を南に変えて植林帯の浅い谷地形を登って行く。330m鞍部まで進もうかと思ったが途中の広い谷筋が開けて藪が無く僅かながら残雪が見えたのでそこを登ることに。どのみちこの付近はどこを登っても目的の北西尾根に出るので登りは適当でいい。木が少なく藪もほとんど無いのは残雪が多いからか、それとも雪崩の影響か。谷に残った雪は固く締まったデブリの残骸だった。

・谷の上部は傾斜がきつくなってきて雪も見当たらなくなったので、適当に右手の尾根に乗ることにした。尾根上は少しだけ植林の区間を通過したがすぐに自然林へと変わる。雪は皆無で植生は低い灌木と椿、それに葉の先端が尖って痛いチャボガヤの藪がメイン。椿は胸くらいの高さしかなくどれも矮小で大きな障害にはならないが、チャボガヤは痛いのでできるだけ迂回したり薄い場所を通過していく。藪の濃さは大したことはなく無雪期でも問題なさそうだが、高度が上がるとどんな状況だろうか。今年初めてのイワウチワの花が目を楽しませる。椿は蕾はあったが咲いていなかった。

・チャボガヤや椿藪は長続きしないので助かるが残雪は出てこない。藪の濃さはほとんど変わらず、高度が上がると低く薄い笹が混じるが灌木地帯よりずっと歩きやすいレベルだ。ところによっては快適に登れる場所もあるくらいだった。

・標高750m付近から断続的に残雪が現れるようになるが、この頃には尾根幅が広がり傾斜がきつく良く締まった雪質で、もし滑ったら止められそうにないので雪の無い場所を選んで登った。藪の濃さも許容範囲だし。それに残雪は長続きしない。

・標高870m肩で北西尾根に乗るが、その直下が固く締まった残雪の急斜面で、アイゼンは出さなかったがピッケルの出番。キックステップを切りながらクリア。

・残念ながら北西尾根に乗っても残雪はほとんど見えない。尾根上の雪はほとんど落ちてしまったようだ。この尾根は概ね弥太蔵谷側(左側)が急傾斜で黒部川側(右側)は比較的緩い傾斜で、巻くのは全て黒部側だ。標高900m付近で岩が登場するがこれも黒部側を巻いた。雪があれば乗り越えられるのだろう。

・北西尾根の植生は背の高いブナや矮小な落葉樹の灌木類がほとんどだが、標高930m付近では短い区間ながら針葉樹(たぶんネズコ)が並んだ場所があり、ここだけは灌木も生えずに藪漕ぎ無しで快適に通過できた。ずっとこんな植生なら助かるのだが。

・標高950m付近を越えると断続的に残雪が現れて部分的には急傾斜があり、また雪が締まった時間帯で滑ると止まりそうにないのでピッケルに加えて10本爪アイゼン装着。出っ歯を雪面に蹴り込むが締まって歯先しか入らないくらい。ここは慎重によじ登った。その後に登場する雪面は危険な傾斜は無かったが、雪が無い区間や雪があっても崩れかけの雪庇で危険で雪の上を歩けない場所の方が長いので、尾根上の細い灌木を分けて登って行く。

・山頂が近付いた標高1050m付近からやっと雪が連続するようになる。尾根幅が広がって傾斜も緩やかになったからであろう。植生は背の高いブナに変わる。

・標高1106.0m三角点のある肩に到着すると比較的新しい足跡が登場。南西尾根から続いているが、こちらから登るルートもあるようだ。帰宅後にネットで調べたら前日に登った記録を発見。尾根ではなく西側の急な谷筋を登っていた。おそらく上部はかなりの傾斜で雪質によっては滑落のリスクが相当高いと予想された。尾根ではなく谷ルートを登ったのは谷しか雪が無かったからであろう。

・足跡は三角点のある肩までで、標高1110m等高線が取り囲む真の森石山山頂には続いていなかった。もったいないなぁ。でもおそらくこの足跡の主にとっては三角点肩が山頂だったのだろう。この斜面には雪が消えて地面が見えている箇所があったが植生は低く薄い笹が中心で、もしこの植生が山頂付近全体を覆っているようなら無雪期でも楽勝だろう。積雪量はかなり少ないようだ。

・三角点のある西の肩からなだらかな尾根を僅かに登ると真の森石山山頂に到着。中央のブナに巻かれた目印のピンクリボンがあるだけで山頂標識は無かった。周囲はブナに囲まれて展望が悪く、朝日岳から白馬岳にかけての後立山も枝が邪魔で写真撮影したくなる光景ではなかった。南に見える尖ったピークは針ノ木岳だった。

・藪漕ぎが長かった割には短時間で登ることができたが、疲れがゼロではないので山頂で少々休憩。ここから東に延びる尾根の先には瘤杉山や猪頭山があるが、もう残雪が少なすぎて藪漕ぎが長いのは確実なので来年以降に持ち越しだな。このエリアでは3月上旬に登らないと雪が消えてしまうようだ。次回は小川温泉から登ろうかな。

・下山は往路を辿る。気温が上昇して雪が適度に緩んでアイゼンが良く効いて滑落防止のバックアップにピッケルを使う必要はなかった。アイゼンを脱ぐのが面倒で870m肩までアイゼンのまま歩き通し、肩でアイゼンを脱いで急な灌木藪に突入。往路では迂回した雪面は帰りは大いに利用させてもらう。

・この尾根は傾斜が急な場所では尾根が不明瞭であり下りは要注意。1度枝尾根に引き込まれたがピンクリボンの目印が左手離れた場所に見えたので復帰。他にも間違いやすい場所があったが、読図が面倒で往路のGPSの軌跡を見てルート判断。地図表示機能が無い安物GPSでも十分に役立った。

・帰りは尾根を忠実に下り標高400m付近で杉の植林に突入するとその後はずっと植林の中を下って行く。明瞭な330m鞍部で北の谷を下れば最後は駐車箇所のトンネル入口に出る。


まとめ

 残雪が僅かでほとんど藪漕ぎだったがその区間の植生はそれほど濃くなく、おそらく無雪期でも登頂可能と見た。雪を利用するなら3月上旬までが旬だろう。このエリアは里に近いせいか、同じ標高でも岐阜県境付近の山よりも残雪は少なかった。特に今回のルートは西斜面で傾斜がきつく、雪が早く消える条件が揃っている影響もあるだろう。

 

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